2026年4月8日水曜日

前立腺癌と向き合う(後編)


 手術か放射線か、自分で選ぶところから始まった。 そこから入院、手術、回復までの経過を記録しておく。

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■ 治療法をどう選んだか

「治療法は手術か放射線か、どっちにします?」 ここは自分で選ぶのかよ?と思った。

  • 手術  ダビンチを使ったロボット手術。  昔の開腹手術や腹腔鏡手術に比べると切る箇所が少なく、回復も早い。  とはいえ、尿漏れと勃起障害の可能性は残るという。

  • 放射線  体外から放射線を当てる「外部照射」と、体内に線源を永久留置する「小線源治療」の2通りがあるらしい。  尿漏れと勃起障害の可能性はかなり下がる。  とはいえ、大腸からの出血などの二次被害があることもあり、一度放射線治療をすると手術はできないらしい。

実績はどうだろう? その病院では半々のようだ。決め手にならない。

転移は無しということだったが、前立腺はリンパも血液も集中するところなので、すでに検出不可能レベルの転移が起きているかもしれないし、これから起こるかもしれない。 急いだほうが良い。

結局、再発してからの選択肢が増える という理由で手術を選ぶことにした。 予定を確認すると、1ヶ月後に入院・手術ができるようだ。 年齢が高い人は放射線を選ぶ場合が多いとも聞いた。 まだ50代なので癌患者としては若い方で、寿命よりも再発のほうが先に来るだろう。

■ 手術前のこと

入院前は、本当に自分の選択が正しかったのか悩んだ。

宮本亜門氏の記事(https://diamond.jp/articles/-/277815)を読んだ。 ステージ2、ダビンチ手術を選択まで一致している。

「切っちゃダメだからね」

尿漏れと勃起障害の懸念だ。 ハッとした。 僕も重粒子線治療を探せば良かったか? 調べたら、うちから1時間程度で行けるがんセンターでやっているらしい。

「後遺症が残って放射線を選択した人から『僕は放射線治療で全部治って、アソコも元気だよ』と言われるとちょっとムカッとします」

うーん……。

手術前の検査のとき、医者からこう言われた。

「癌は前立腺の片側にしか無いので、手術ならもう片側の勃起神経を残します。弱くはなりますが」

すでに予定も決めているし、撤回すると組み直しになる。 そうなると放射線にしても治療開始は数ヶ月先になるか? と思い悩んでいたときだったが、これは一縷の望みになった。 そのまま手術をすることにした。

■ 入院、手術

入院して翌日が手術。抗がん剤治療などは一切なかった。 予定表を渡されていたので、いつ何をするのかわかって安心感があった。 問題がなければ一週間で退院するスケジュールだ。

手術は全身麻酔で行われた。 麻酔の注射を打たれ、気づいたら手術が終わってベッドに寝かされていた。 看護師さんの声かけで起きた。

術後は鈍痛があり、尿道カテーテルが差し込まれていた。 ダルい、辛い。食事は全く食べる気にならなかった。

翌日から検査のために別の階へ行くが、歩けるものではない。 車椅子で押してもらった。 もう少し間を置いてからでもいいのでは?と思ったが、あのスケジュールでは無理矢理でも検査していくしかないだろう。

それ以外の時間はダルさと辛さで何もできず、起きているときはボーッとしていた。

「できるだけ歩くようにしてください。じっとしてると癒着とかありますから」

ハッとした。 身体に鞭打って、できるだけ歩くようにした。 尿道カテーテルから伸びている尿バッグのついた点滴台を押しながら、最初は手すりを掴んで病棟を歩く。 テーブルのあるところで本を読む。また歩く。 1日に3回、4回、周回する回数を増やしていった。

検査のあと、

「尿管もちゃんとつながってるようだから抜いちゃいますね」

と言われ、尿道カテーテルを引っ張られたらヌルっとした感触だけで簡単に抜けた。 足枷のように感じていただけに、自由が増えた感じだった。

直属の上司が見舞いに来てくれた。 家族には連絡したけど来てくれないので、唯一の見舞い客だ。 ちょっと嬉しい。 だいぶ元気になっていたので、問題ないことをアピールした。

スケジュールにある検査結果の条件をすべてクリアして進んだので、本当に一週間で退院できた。 特にダルさもなく、長時間歩いても問題ないくらいになっていたので、タクシーなど使わず普通に徒歩&バスで自宅に帰った。

■ 定期検査

検査は1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後、1年後とあったが、血液検査と尿検査だけ。 昼飯前に検査をして、優待券でスエヒロのランチを食べてから、昼飯後に診察というのがルーチンになった。

その日のうちに検査結果が出るのはいい。 PSAは1ヶ月後にガクンと下がり、そのあとは検出値以下だった。

1ヶ月後に切除した前立腺の検査結果を聞いた。

  • 断端陰性(切除した端に癌細胞なし)

  • もう片側にも癌はあった

  • 摘出した精嚢に浸潤もなし

生検と言えど完全に捉えることはできないということか。 しかし切除した外側に癌が無いというのはかなり安心できる。

あとは血液やリンパに乗って別のところで癌細胞が育つ遠隔転移の心配だろう。 放射線治療を選択したらこの検査はできない。 放射線治療後は前立腺が存在しているのでPSAは10倍近い値が出るのが正常らしく、再発の見極めも難しそうだ。

放射線治療だと「治療しきれたのか?」「PSAがちょっと上がったときの再発の恐怖」が常につきまとう。 今後怯えて生きることになっただろう。

手術から1年後、近くの病院へ逆紹介となった。 その病院は紹介受診重点医療機関だったので、再発の恐れのない患者は追い出される。 そこまで問題ないということなので、ちょっと嬉しかった。

自宅から歩いて行ける泌尿器科の病院へ紹介状を書いてもらった。

半年後、その泌尿器科へ行った。 いつもの血液検査と尿検査。

「とくに問題が無ければ連絡はしない。結果は次回渡す」

とのこと。 次回は4ヶ月後。 ちょっと頻度が高いんじゃないか?とも思ったが、指示には従う。 現在は次の受診待ちの状態にある。

■ 後遺症

尿漏れはやはりあった。 入院前から骨盤底筋体操をやってくださいと言われていたので、入院中も続けていた。

どうしてもちょろっと雫のような漏れがある。 小用に立って、しっかり残りを出さずに仕舞うと、残った尿が出てくるので注意が必要だ。 しかしどうしても忘れるときがある。

尿漏れパッドを最初使っていたが、めんどくさいし、雫がチョロっと出る程度なのでやめてしまっている。 保険のために1個だけ入れているが、この尿漏れとは一生付き合うことになりそうだ。

尿漏れで悩む人は旅行にも行けず、歩くのも不安になるレベルの人もいるらしい。 そう聞くと、かなり恵まれていると思う。

前から頻尿気味だったこともあり、寝ている間ずっと漏らさないというのが難しい。 なので1回くらいは小便に立つ。 朝は6時くらいには起きるようになった。 土日は2度寝することもあるが、平日はそのまま起きるようになった。

勃起は弱くなると聞いていたが、かなり弱くなる。 以前のように硬くはならない。 半立より少し上くらいだろう。

射精ができなくなったので、イキ感も弱い。 あの強烈な快感がもう戻らないと思うと寂しい気持ちがある。

バイアグラなども考えたことがあるが、どうにも踏み切れない。 今でも迷っている。 でも全く勃たないわけでもないし、快感がないわけでもない。 マシなのかもしれない。


投稿日:2026年4月8日(水)

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